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患者

40代・女性

来院

2018年2〜4月

症状と来院理由

半年前から右手の親指付け根の痛みがあった。

次第に指が曲げにくくなり痛みが増してきた。

整形外科に受診したところ「バネ指」と診断され、湿布と痛み止めを出され、週1回リハビリで通院していた。

真剣に通いつめていたが、症状に変化はなく説明されることはいつも同じだったことから不安を覚えネットで検索。

当院の症例に「バネ指」があり、今よりは何とかなるのではと思われ電話頂き通院に繋がった。

【問診時に思いついた日常で困っている動作】
・包丁を握ることが出来ない
・ジャムの蓋が開けられない
・ポテチの袋を開けない
・紐を縛ることが出来ない など…

治療内容と経過

発症から半年が経過していました。

親指は一文字と行った感じで指が立ったまま曲がることがありませんでした。

長期間、治療を有するかもしれないことを説明し治療に入らせて頂きました。

【初回】
先ず、動作が何も出来ないことから、「曲げる」ことを目標にしました。

背中から親指にかけての筋肉の緊張を緩めるため、背中に鍼を行う…。

著しい変化はなし…。

次に物を握る際に働く「対立動作」の改善しようと親指の動作に関係する首の筋肉へ鍼を行う…。

少し動きが着いてきたが、本人が納得出来るレベルの動きでは無かったが、痛みの感度は下がったとのことだった。

肩甲骨周りの動きを良くするため、肩先にあるツボへ鍼を行い初回の治療は終了した。

【2回目〜5回目】
前回の治療翌日から、親指を小指へ寄せる「対立動作」が出来る様になっていた。

対立動作が出来る様になったことで、母指丘(親指から掌へ降りてきたところの土手みたいな箇所)に痛みが出ることが分かった。

前回の治療に加え、母指丘への痛みを誘発する腕の筋緊張を緩めるため、脹脛へ鍼を行なった。

母指丘の痛みが減り、対立動作がさらにしやすくなっていた。

指を曲げる動作はなかなか変化が現れなかった。

【6回目】
対立動作につられてか、親指の関節が痛みを伴うが徐々に曲がる様になってきた。

曲がる様になってきて分かったことだが、親指の橈骨側(左側)に痛みが出ていた。

今まで通り、親指の動きに合わせて背中を調べ硬結に鍼を行う。

さらに痛みが限局出来たからか、背中に鍼を行なったまま指を動かしてもらうと、引っかかりはあるものの指がハッキリ分かるくらい曲がる様になってきた。

【7回目〜8回目】
ご自宅でのリハビリを頑張りすぎたか、指の左側に出ていた痛みが右側(尺骨側)にも出る様になっていた。

だが、指の曲がり具合は良くなっていて、伸ばす際に引っかかる割合が減っていた。

指の両サイドの痛みが減ってくるまで、鍼数を1本増やして治療を行うことになった。

【9回目】
ジャムの蓋とポテチの袋を開ける際に痛みを殆ど感じずに行うことが出来たとのこと。

本日のはり治療を行う前から指の曲げ伸ばしを行なっても、ひっかかりが少なくなったことが分かるようになっていた。

鍼数を以前の本数に戻して同じように治療を行なった。

【10回目】
ある程度短い時間なら包丁を握ることも出来るようになったとのこと。

9回目と同様に治療を行い、次回の変化を診て日常生活に支障があまりない様子なら治療を終了する予定になった。

【11回目】
9回目から本日まで痛みを感じる時間が少なくなったことと、日常生活で行える動作が増えたことを確認して、今回の治療で終了することになった。

同時に治療した症状

母指丘の痛み

使用した主なツボ

【初回】T1(1)、C7(1)、巨骨

【2〜5回目】T1(1)、C7(1)、築賓、飛揚、巨骨

【6回目】T1(1)、C7(1)、T7(1)、巨骨

【7〜8回目】T1(1)、C7(1)、T7(0.5)、T7(2.5)、巨骨

【9〜11回目】T1(1)、C7(1)、巨骨

治療技術

四肢編、連動思考編、五体躍動編

まとめ

どんな症状でもそうですが、発症から長期間経っての症状は改善が難しいです。

初回来院時に立ったまま折り曲げることが出来なかった親指が、日常生活に支障がないところまで回復したのは、患者様が日頃継続して下さったリハビリの成果だと思います。

特に今回は「親指のバネ指」だったのでなおさら。

なぜなら、親指は他の指と比べて動作パターンが多いからです。

屈曲、伸展に加えて対立の動作と、両側に張っている別々の役割を持つ腱が親指の動作パターンに関わっている。

他の指なら屈曲、伸展の単純な動作パターン。

動作が複雑な分、治療も難度があがります。しかも今回は予後不良。

はり治療で動作に関わる筋緊張をゆるめても、日常生活で使わなければ直ぐに硬くなってしまいます。

初回から著しい動作改善がみられなかったにも関わらず、私の説明を信じて指を曲げようとするリハビリを続けて下さった。

だからこそ日常生活に支障が出なくなるまでに回復した症例でした。