肘痛(3):棚にぶつけて痛めた右ひじ

患者

40代・女性

来院

2018年6月

症状と来院理由

前日、棚に肘をぶつけてしまった。

肘の痛みが朝になっても退いていなかったことから、当院へ電話し午後の空き時間に治療を行うこととなった。

また、治療の3日前に登山に行った。

起伏が激しく、腿をあげる機会が多かった。

そのため、日ごろ使っていなかった筋肉が疲労し立ち上がる際、足に力が入りにくくなっていた。

治療内容と経過

肘の確認を行うと、振り向きざま棚の柱に肘の側面をぶつけたことが分かった。

腕を身体から斜め外の方向へ万歳する動作で痛みが再現された。

人差し指から肘の外側を経由し、背中まで続く筋肉の伸長が上手く行われていないことが判った。

その筋肉の伸長に関わる筋緊張を弛めるために、手の甲にあるツボへ鍼を行なった。

すると、万歳の動作がスムーズに行える様になり、肘の痛みは感じなくなっていた。

続いて、足の症状を確認すると患者様が話されていた通り、腿を引き上げる動作に関係する腰の筋肉に張りが見つかった。

その腰の筋肉の張りを弛めるため、足の甲にあるツボへ刺鍼。

その後、起き上がって確認いただくと立ち上がりの際に足の踏ん張りが効くようになり、腿上げも苦ではなくなっていた。

翌日に人前で歌うイベントに参加するそうで、朝リハーサルを行なった際に声枯れした感じがあり、声が通らないとの相談も受けた。

喉周囲の筋肉の緊張が原因とみて調べると、先ほどの肘のラインと関係する肩の筋肉に緊張が残っていた。

全身調べると同じ患側のふくらはぎの内側に筋緊張が見つかった。

その緊張を弛めるため、腰にあるツボへ鍼を行いふくらはぎが弛んだことを確認して一節歌ってみていただくと声の厚みが出て部屋中に響き渡った。

問題の肘の痛みと足の疲労、声の通りがよくなっていたことから今回の治療は終了した。

同時に治療した症状

足の疲労、声枯れ

使用した主なツボ

威霊、小腰、大腰、L2(1.5)

治療技術

連動思考編、五体躍動編

まとめ

肘の打撲の場合、ぶつけた肘にばかり原因を求めることが多い。

整動鍼の場合は痛みの原因を「動きの不良」と考えるため、今回のように手先から背中まで繋がって連動している筋肉に原因を見出すことができました。

また、声の問題に関しても上腕の(肩から肘に繋がる)筋肉に原因があることが多く、相談を受けたタイミングが遅かったこともありますが、ひょっとしたら肘の痛みと同じ原因で声枯れが起きていたかもしれません。

足の症状に関しては、股関節の内旋という動作が上手く行っていなかったことと、腿を持ち上げ始める際の軽度の腰の反りという動作に不良があったことが、今回の足の疲労感の原因でした。

思いもよらぬ意外なところに原因がひそんでいることが解り、患者様は非常に驚かれていました。

痛みの症状(その他の症状)について詳しくはこちら

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