当院にご来院いただく方には、日常生活での姿勢や身体の使い方(動かし方)をはじめ、簡単な体操などをお伝えすることが多くあります。
それに加えて、東洋医学では季節の変化が身体にもたらす影響を考え、季節によって生活全般で気を付けていただきたいことがありますのでご紹介します。
秋の養生編
秋の養生で基本原則としては、陰気を養うことが大切です。
また季節の変わり目で朝晩と日中の寒暖差もあり、体調を崩しがちな時期になります。
そのためこの時期は喉や鼻、皮膚が乾燥したり痒みを感じる方が多くなります。
そして何より秋には”乾燥”から身を守ることが重要となります。
~秋の養生ポイント~
①乾燥から身を守る
秋になり気温が下がり始め、湿度が低くなり、空気が乾燥します。
東洋医学では、乾燥した気候は肺を損傷させやすいと考えられます。
そのため秋は鼻の乾き、のどの痛み、咳といった呼吸器系の病気や口やのどが渇く、肌の乾燥、便秘をしやすくなるなどの症状が出やすくなります。
したがって秋の養生は、乾燥を防ぎ肺をたすけることが大切となります。
室内でも加湿器や濡れたタオルを使い部屋が乾燥しないように、また皮膚の乾燥にはクリームなども取り入れつつ乾燥を防いでみてください。
【乾燥対策のおすすめの食べもの】
◆梨:体と肺を潤し口の渇きや肌の乾燥を解消し、余分な熱を取り去り喉の痛みをとる効果
◆山芋や長芋:疲労回復に役立ち肺や身体を潤し、口の渇き、咳を抑える効能を持ちます。
◆白ごま:皮膚を潤す働きがあり、肌あれにも効き目があります。また便秘解消を手伝います。
②冷えに注意
夏の間に大汗をかいて身体の各組織の水分不足の状態となります。
そこにきて秋の冷気を浴びると、頭痛・鼻づまり・胃痛・関節痛などの症状が現れやすくなり、同時に慢性病の再発なども誘います。
朝晩と日中の気温差もあるため、服装の調整は面倒でもこまめに行なってください。
また冷たい飲み物の摂取を控えたり、秋の旬野菜(サツマイモ、ナス、ニンジン、ダイコン、レンコン、サトイモ、など)を蒸したり、スープにしたりすることもおすすめです。
③基礎体力を養う
秋は夏に衰えた消化吸収を整え消耗した体力を養う、とても大切な時季となります。
同時に冬を元気に乗り切るための準備期間にもなります。
中医学の古典には、
「秋は早寝・早起きを心がけ、心安らかにして生活するように」
とあります。
意識的にリラックスする時間をとり、季節の変わり目を上手に過ごしてみてください。
④「酸味」と「甘味」で補陰を心がける
東洋医学では「酸味」と「甘味」との組み合わせは身体に潤いをもたらすとされています。(酸甘化陰といいます)
例えば、梅の酸味とはちみつや角砂糖などの甘味で”梅ドリンク”などおすすめです。
他に、甘味におすすめなのが秋に収穫されるスーパーフードでおなじみの”クコの実”です。
温かい紅茶に、クコの実(甘)と、レモン(酸)を加えていたただくのもおすすめです。
クコの実は比較的簡単に手に入れることができます。
味に癖もないため食べやすい食材です。一度ためしてみてください。
今回ご紹介させていただいたのはほんのわずかですが、簡単に生活に取り入れていただけるものばかりです。
ただ、即効性があるというわけではなく、漢方のようにじわじわと効果が発揮されるという考え方です。
当院で鍼施術を受けていただくことで、お身体は確実に変わっています。
そこでせっかく施術して身体が変わっていくのであれば、少しだけご自身の身体に向き合い手間をかけていただけると、よりよい方向に進むと考えております。
少しでも、皆様にとって健康のお役にたてていただけましたら幸いです。