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腰痛症(11):足を伸ばしたら…

■患者■
60代女性

■来院■
2017年7月

■症状と来院理由■
ヨガ講師として新しい施設で健康指導を行う仕事を頂いた。
新しいプログラムを練習していた際に発症。
普段あまり行わない動きをしたためとの訴え。

当院には通院歴あり。
仕事が始まる前に治しておきたいと来院された。

■治療内容と経過■
【初回】
動作確認を行うと「左へ捻る」「前へ体を倒す」事が出来ない。
問診が終わり椅子から立ち上がる際にも痛みが再現するという状況。

ベットへうつ伏せで寝て頂くと腰が伸ばされ痛みがあるとの事。

素早く背中と腰、臀部を触診し発痛点と原因箇所を探ってみる。

ふくらはぎ、膝周囲とももに原因箇所が診てとれた。

それぞれに鍼を行いうつ伏せの状況がまだ辛いか聞いてみる。

患者様:「腰が伸びた気がします。少し楽です。」

立ち上がって頂き、動作確認を促す。

患者様:「先生、前に身体を倒すのと捻るの大丈夫!ただ、起き上がる時に少し痛くて膝に手をつかないと不安かな。」

お腹の緊張を診せて頂くために仰向けでベットに寝て頂く。

左の下腹部と右の肋骨の下の部分に筋緊張がある事が判明。

そのためまだ身体を自然に立てる事が出来ない状況でした。

原因点を探り、それぞれに鍼を行い緩んだことを確認し抜鍼。

患者様:「先生、背中伸ばせます。そう!こうやって横になって足を天井に向けて伸ばした時に腰が痛くなって動けなかったの!」

立ち上がって頂き動作を確認。

患者:「随分といいです!歩くのも平気!立ち上がって動くの大丈夫なんですけど、立ち上がるのが途中で痛いの。どうにか成りますか?」

私:「今日はたくさん鍼を行いました。鍼をこれ以上行って治療効果がボヤけてしまうこともあります。ここまでにして、様子をみましょう。動けるように成ったことで、自然に解消されることもあります。ただ、今少しの不安を残してお帰り頂く事に成るので、明後日もう一度診せて頂けませんか?」

患者様:「今のままでも生活に支障は無さそうなので、先生を信じて明後日また来ます。」

立ち上がりの一瞬の痛みを残して初日の治療は
終了した。

【2回目】
前回からの経過を確認すると…

患者様:「先生、お陰さまでもう随分といいんですよ!今度は別の問題が…」

私:「どうなさったのですか?」

患者様:「実は…。左足の裏(足底)が昨日ツリました。」

お身体を診せて頂くと確かにまだツッた痕迹が。

私:「前回、立ち上がる時に一瞬の痛みが走るって言ってましたよね?」

患者様:「はい!まだ少しの違和感があります。」

私:「顔を洗ったりする時や、髪の毛洗って流す時にも同じ痛みが走るのでは?」

患者様:「そう言われればそうです!よく分かりましたね!」

背中の原因となりうる箇所を触診。

患者様:「あっ‼︎先生、痛い!」

スネにあるツボに鍼を行い再度確認。

患者様:「先生、痛く無い!」

足の裏を確認すると先ほどまであったツッた痕跡が無くなり柔らかくなっていました。

足裏がツッた事が原因か、前回とは反対に身体を捻ることが出来なくなっていたので前回とは反対の原因点に鍼を行い、捻ることが出来ることを確認して今回の治療は終了しました。

 

■同時に治療した症状■
背中と下腹部の張り・左肩のコリ・足底の筋緊張

■使用した主なツボ■
【初回】殷門・委中・陰谷・飛陽・足三里・陽陵泉・陰陵泉

【2回目】玖路・飛陽

■考察■
日頃から庭仕事が好きで中腰や立膝の姿勢で作業を行なっているそうです。

私が顔を洗う姿勢について伺ったのは、この庭仕事の姿勢に通じる動作だったからです。

中腰や立膝の姿勢が長いと、身体の体重を支えるため足首が外反した状態で踏ん張ってしまいます。

その状態を長時間、ましてや今回の患者様のように日常の習慣にしてしまっていると、足裏からスネにかけての筋肉に不自然な緊張を生んでしまいます。

その緊張が足から腰に伝わり、今回は仰向けで寝た状態から足を天井へ向けて伸ばすという動作で緊張した腰の筋肉を無理に伸ばしてしまったことから発症していたのです。