耳鳴りの症例:耳の中でスースー音が
■患者■
70代の女性
■来院■
2016年8月から2017年4月まで治療
■症状■
もう10数年間、耳の中で「スースー」という音が聴こえるんです。
右耳にこおの音が鳴るようになり、近所の耳鼻咽喉科、大学病院、民間療法と渡り歩いてきたが改善の兆しが見えず来院。
日中のパート中や街中のような音がある場面でも聴こえてきて会話が聞き取りにくく困っている。
就寝時にも収まらず睡眠にも支障が出ている。その他にも首肩こり、腰痛を持っている。
■治療内容と経過■
初診時に「最低5回は必ず治療を受けて下さい」と約束する。
今までの治療経緯を聞いていたので、当院の耳鳴りの考え方を治療前にシッカリと説明させて頂いた。
その後触診を丁寧に行わせて頂き、頚椎と胸椎に強い捻じれがある事が判り患者様にも触れて頂き症状と治療計画を共有した。
手足に刺鍼し10分置鍼を行なった。確認頂くも「そこへ行っても効果無かったので先生のところで信じて5回通います」と少し寂しい返事で初回を終了。
【2診目】
前回からの経過を確認。「耳鳴りの事ばかり答えていたが、先生が説明してくれた通り首が楽だった」とのこと。
触診を行い前回と同じように施術。
変化があったのは鍼の本数が増えたこと。
頚椎の捻じれが少なくなってきたので腰痛の治療も同時に行うことにした。
耳鳴りは変わらず、腰痛は改善した。
【3診目】
「眠る時、周りが静かな時に耳鳴りが気にならなくなった」との嬉しいお知らせ。
これからも治療を続けたいと明るさも出てきた。
触診後、頚椎の捻じれが少なくなっていた。
前回同様に施術を行う。
患者様ご自身の気持ちも乗っているので緩み方が非常に良い。
心身一如とはよく言ったものだ。
【4診目】
「以前と比べて気分が良くなってきた」と。
頚椎の状態がとても良かった。
首周囲の筋肉の緊張が少なく血行が良いことから気分が上向きの様子。
頚椎下部と胸椎上部の調整を行なった。
5診目の前に耳鼻咽喉科でオージオグラムを受診して頂くようお願いして終了。
【5診目】
「夜間と早朝の耳鳴りが無くなりました!」との嬉しいご報告。
病院へ検査には行けなかったが「これからもよろしくお願いします」と治療の継続に積極的。
頚椎の調整も短時間でスムーズになって来た。
表情が柔らかく、明るくなって私もとても嬉しい。
【6診目】
オージオグラムの結果をお持ち頂く。
左右の軽度の難聴と耳鳴りという診断結果。
患者様は夜間の耳鳴りが治っているからか結果に左右されず前向きに治療を受けて下さった。
【7~9診目】
夜間の耳鳴りは治ったがそれ以降は平行線状態。
【10診目】
「前回の治療後から変化がありました!」と、とても嬉しい様子でご報告がありました。
今まで耳の奥で聴こえていた耳鳴りが耳の出口に移動した感じとのこと。
耳鳴りの音が小さく成った様だ。
2回目の耳鼻科での検診をそろそろ考えてみてもよい時期かもしれない。
【11〜12診目】
「平行線です。」とのこと。
2回目の耳鼻科受診が遅れていて申し訳なさそうな様子。
友人との外出機会が増えた事を嬉しそうにお話して下さった。
【13診目】
耳鼻科受診後、検査結果をお持ち頂く。
「軽度ではあるが、回復の兆しが見える」との診断。
オージオグラムの結果を見せて下さる姿がとても嬉しそうでした。
14診目は今まで通りで、15診目からは1週間を空けて治療を行う事にした。
【17診目】
2016年最後、12月に入ってから2回目の治療。
経過を伺うと「先生、実は今朝から耳鳴りが無くなっているんです。
気分が非常に良いんです!」とても嬉しいお知らせでした。
触診で頚椎の状態を確認。前回の治療後と変わらない安定した状態でした。
肩こり、背中の張りも殆どなくなってる。
最下部の頚椎の調整を行わせて頂き、次回までに耳鼻科を受診して頂ける様にお願いした。
【18〜20診目】
2017年に入ってから月に2度の治療へ変更。
2月に耳鼻科を受診。
その時のオージオグラムの結果がとてもよく、医師からも「回復傾向」とお墨付を頂き患者様はとても嬉しそうでした。
この頃から首だけを丁寧に触診しながらツボを選び治療を行い始める。
(下の写真:前回検査より3項目とも5.0dB聴力が上がってました。)
【21〜25診目】
首の状態も安定し、2回ほど様子を見せて頂き効果が持続している事を患者様と確認。
患者様から「ここまで良くして頂き、とても嬉しく感じています。日常生活でストレスに感じる事が無くなったので、少しお休みして困ったら先生に相談します。」との申し出があり、こちらから定期的にオージオグラムを受けて状態を把握して頂くようにお願いして耳鳴りの治療は終了した。
■同時に治療した症状■
猫背、腰痛
■使用した主なツボ■
水泉・大鐘・僕蔘・足太陽・内谷・外谷・養老・六谿・玉天・玉人・飛陽・築賓・豊隆
■考察■
耳鳴りと聞いて病院では頚部の筋緊張や血流などを確認することは無いでしょう。
そこが病院での治療と鍼治療の差別化されるポイントだと思います。
薬など病院での治療がうまくいかない時には「頚椎の捻じれ」を疑ってみて頂きたいです。
この患者様は正に頚椎の捻じれから筋緊張や血流の不良を引き起こし症状が出ていました。
日常生活に支障が出ないレベルまで回復出来たことは患者様にとって大きな出来事だったと思います。
お電話ありがとうございます、
はりきゅうルーム恵眞道でございます。