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うつ病の症例:不眠

■患者:40代の男性

■来院:2015年3月

■症状:もともと生真面目な性格から職場のプレッシャーに負けてうつ症状を発症。産業医の診断でうつ症状に効くとされる薬と睡眠薬を半年飲んでいるが一向に改善が見られず休職中。夜間覚醒と日中の眠気に悩まされている。食べること、お酒を飲むこと、バイクに乗ることが趣味だったのに全てが億劫になり止めている。無気力で集中力がなくボーッとしている事が多くなり、心配した同僚の紹介で来院。

■治療内容と経過:昼夜が逆転している事から自律神経の乱れがある事は直ぐに分かった。本人にも了解を取り、気と自律神経を整える経絡治療を行うことにした。仰向けで百会というツボから患者様自身の気の流れを確かめ、身体のどの部分で気が止まっているかを見極める。その後、皮膚の状態から下半身の冷えと、上半身の逆上せを確認。前腕の脈に触れ脈気から身体全体の情報を読み取る。問診・百会診・尺膚診・脈診から本日使用するツボを割り出して本治法を行う。うつ伏せになって頂き標治法。患者様の自助作用を利用する本治と違って現れている症状に直接効かせるのが標治。腰・肝臓・右肺・下焦・右半身を治療し、また仰向け。締めの本治法を行い治療終了。気持ちの良さから途中寝息を立てられることもあった。初月は毎週1回治療を行い2月目からは2週に1度のペース。2回目の治療を受ける前に自己判断で薬を飲むのを止めたとのこと。3ヶ月の治療を行い、バイクで独り旅行が出来るまでに回復。現在復職して仕事を続けているとのこと。

■同時に治療した症状:自律神経の乱れと気の巡り

■使用した主なツボ:治療時によって異なる

■考察:てい鍼を使った経絡治療は患者様からすると何をされているのか全く分からない治療方法。初診の時点で患者様との信頼関係をしっかり構築出来るまで話し合い、それから治療に入ったことがとても良かった。薬を止めたという話を聞いた時は正直驚いたが、患者様の社会復帰に向けての真剣さが伝わってきて私もいつも以上の覚悟が決まった。毎回生活習慣の見直しを2人で根気よく行い、患者様自身の人生におけるボタンのかけ違いを見つけては正すといった根気の必要な治療を3ヶ月付き合って頂いた。独りでのバイク旅行後に頂いた甘いはずのお土産がお互いの涙で少しショッパク感じた。本当につらい3ヶ月をよく堪えて下さいました。