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五十肩⑶:寝るとまた痛み出して…

■患者■
70代・男性

■来院■
2017年8月

■症状と来院理由■
共通の知人の紹介で「肩の痛みで腕が上がらない」という相談の電話から始まりました。

整形外科、鍼灸院に通っているがその場では痛みが無くなる。

だが寝ていると夜間痛で目が覚め、朝まで眠れないの繰り返しで困っている。

【左肩】

・腕を頭の上まで上げる動作(屈曲)
➡︎ 60度位から痛みで表情が険しくなり90度手前でストップ

・腕を真横から上げてみる動作(外転)
➡︎ 45度位から痛みが強く上がらない

・肘を90度に曲げ肘を固定したまま手の平をお腹に向ける動作(内旋)
➡︎ 肩の前面に痛みが走り途中で断念

・肘を90度に曲げ肘を固定したまま手の甲を外へ向ける動作(外旋)
➡︎ 肩の後面に痛みが走り途中で断念

■治療内容と経過■
動作確認を行なっている時に【肩関節の軸】の位置関係が正常でない事が判明。

人が進化の過程で持っていた前脚と後脚の動作をコントロールしていた首と背中の機能について説明をさせて頂きました。

その1番ポイントとなる頚椎を触診してみると患者様にも実感頂ける程の圧痛が。

その圧痛の原因になっている足首にあるツボへ鍼を行う。

私:「腕を前から頭の上に向けて上げてみましょう」

痛みを堪えながら90度位まで上げて頂く。

最初の時よりも上がりは良くなっているが、肩の開きが強くなっている。

足の鍼を抜き、今度は肩の縦軸の調整に入る。

肩の縦軸に関係する腰のポイントを触診すると

患者様:「あ、痛い!」

この痛みの原因になっている手の甲にあるツボへ鍼を行い、また腕を上げて頂く。

患者様:「あぁ、さっきよりは痛みを感じずに上げられます!」

鍼を抜き、続いては真横から腕を上げあげる動作を行なって頂く。

上げようと必死になるあまり、右半身へ身体が倒れてしまい肩だけで腕を上げることが出来ない。(代償動作)

肩の横軸の動作に関係するポイントを触診すると硬さが目立った。

その硬さの原因に鍼を行うため、横向きで寝て頂く。

肩の動作を確認しながら足首にあるツボへ鍼を行う。

患者様:「あれ、動いているよね?」

鍼を抜いてから座り直して頂き、再度確認。

患者様:「楽に動いている!鍼ってこんなに直ぐに効くの?」

お話を伺うと、今までの鍼治療は痛い肩周りにだけ鍼を行なっていたとのこと。

肩の動作に関係する軸を整えた後は内旋・外旋・外転で出ていた痛みに関係する動作改善。

肩周りの動作は背中の連動動作が非常に深く関係している。

その為、触診で背中を確認。

3箇所、痛みを生む動作に関係するポイントを発見しそれらの原因となるツボへ鍼を行う。

1本目、内旋で肩の前側が痛かったのが無くなる。

2本目、外旋で肩の後ろ側が痛かったのが無くなる。

3本目、外転で50度も上がっていなかった腕がタクシーを呼び止められる程に上がる。

患者様:「信じられない程肩が動く!先生、ごめん!最初は先生のこと疑ってた!だって肩って訴えているのに足首に鍼を打つんだよ。今までそんなの無かったし、信じられなかった。」

脱ぐ時よりも軽快にシャツを着ていらっしゃる患者様がとても嬉しそで明るい表情に変わっていた。

今後も時間を作って通ってみると言葉を頂き、今回の治療を終えた。

■同時に治療した症状■

 

■使用した主なツボ■
足太陽・腰腿点②・申脈・内谷・陽輔・養老

■考察■
片側の筋力に頼り過ぎるあまり、筋緊張のバランスが乱れていました。

荷物を左側に持つ癖や、重たいものを左手に下げた状態で右手で細かい作業を行う事が多いことが原因になってました。

左肩の周囲の筋肉が【短縮固定】されていたのです。

荷物を持ったり、重たいものを下げた肩の姿勢が固定され安定していたのです。

そのため、荷物や重たいものを下げたり持ったりしていない状態では筋肉が伸びにくくなったいて、短縮固定から引き延ばそうとすることで無理が生じて痛みになっていたのです。

短縮固定に関わる連動した張力を解放することで、正常の動作を行えるようになり痛みなく腕を上げられる様になりました。