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股関節痛:階段の下りがしんどいです

■患者■
60代・女性

■来院■
2017年8月

■症状と来院理由■
・5年前から左股関節を患っていて、整形外科に通っている。

・最近、身体をのけ反りながらではないと階段を下りることが出来なくなった。

その為か、右膝の痛みも出て来たので、このまま整形外科に通っていて改善するのか不安になり、いろいろ調べていたところ鍼治療で見つかった当院へネット予約をし通院にいたった。

・股関節の痛みのため中間位までしか、しゃがむことが出来ない。

・昼間は事務の仕事で残業が多く、視力が悪いこともあって背中を丸くした同じ姿勢で長時間椅子に腰掛けている。そこから立ち上がる際に左腰に痛みを感じる。

■治療内容と経過■

【初回】実際にしゃがむ動作で再現を確認する。

ちょうど真ん中位までしゃがむと痛みと不安でストンと跪いてしまう。

股関節の内外旋のテストを行うと内旋がし辛い。

背中を触診したところ、股関節の内旋に関係する箇所に圧痛があり原因である足のスネのツボに鍼を行なった。

患者様:「これは良くなったという事なんでしょうか?」

先ほどまであまり内旋出来なかった股関節がスムーズに内旋出来る様に成っていた。

私:「内旋出来ていますよ!左足を持ち上げて反対に持っていきますよ(内転)。痛みか突っ張り感じませんか?」

患者様:「お尻から膝へかけて突っ張りを感じます。」

臀部から膝へかけての突っ張りを誘発し内転障害の原因となる、膝の横にあるツボへ鍼を行なった。

鍼を抜き終わり、足の内転で突っ張るかどうか確認。

患者様:「無い気がします。」

立ち上がって頂き、またしゃがんでみて頂くが痛みの不安からか、ストンと跪いてしまう。

動作の変化も重要だが、この患者様には気持ちの変化も重要だと考え次の症状改善に移る事にした。

今度は腰の痛みの原因となる動作を確認してみた。

患者様:「左足へ体重をかけると重だるく感んじる。今は痛みは感じない。」

腰を触診していくと、背中から腰にかけての張りが右と比べて強かった。

この左足へ体重をかけるという動作で腰に症状を誘発させる左手甲にあるツボへ鍼を行い、再現して頂くと。

患者様:「あぁ、腰のおもだるさがなくなりました。これは分かりやすい。」

左足へ体重が乗せることが出来るという安心感が出たので、もう一度しゃがむ動作を確認してみる事に。

患者様:「これ以上は怖くて曲げられません。でも、自分で踏ん張っている感じが分かります。」

その後、腰の痛みが無くなった事で、右手の親指も痛かったことを思い出し相談して下ださりました。

動作確認を行うと首の側屈に関係している痛みであったことから、足首の近くにあるツボへ鍼を行い親指を動かして頂くと。

患者様:「あっ、嘘!痛く無い!」

あまり鍼数を増やすと治療結果があやふやになってしまうことを説明し、次回は経過を診て継続出来ている様子であれば次の治療へ進む旨をお伝えし1週間後にご予約を頂きました。

【2回目】股関節も気にはなるが、左臀部から左膝にかけて痛みと突っ張りが気になる。

肩関節や股関節に関係する頚椎を調べてみると右側に硬結が確認出来た。

ここに関係する原因となる足首のツボへ先ずは刺鍼。

抜鍼後に立ち上がって歩いて頂くと、

患者様:「股関節は気にならなくなったが、臀部から膝へかけてが気になる。」

前回と同じ股関節内転テストを行い、状況が同じことを確認し、膝の横にあるツボへ刺鍼。

抜鍼後にテストを行うと

患者様:「お尻と膝は気にならなくなったからなんですが、膝の上の方が気になり始めました。」

触診しながら確認すると、太腿の外側にある筋肉が張っているという訴えでした。

太腿の動作に関係する背中の筋肉を触診したところ、原因になりうる箇所に圧痛を訴えたため、説明をさせて頂きそこへ刺鍼。

抜鍼後に背中の圧痛と太腿の外側の筋肉の張りを確認すると、

患者様:「あぁ、無くなりました!」

治療室内を歩行して頂くと、

患者様:「しっかり自分の足で歩いている感じです!今度は右の腰が…。」

歩行時に右足に体重がかかると、膝が内側へ引かれる動作が不自然にあったので腰を確認させて頂きました。

触診していると2箇所圧痛を訴える箇所が。

立ち上がって頂き腰を捻る動作を行なって頂くと、右に捻った際に痛みが。

また、仰向けに寝て頂き右膝を立てた状態で股関節を外旋して頂くと、股関節の開きが悪いという結果に。

触診で見つけた圧痛点とそれぞれの動作に関係する、フクラハギにあるツボへ順に鍼を行い動作を確認すると、

患者様:「あっ!捻れます!」「開けます!」「腰も楽です!」

治療室内での歩行では問題が無くなったので、次週も引続きご予約を頂き終えました。

【3回目】週明けに痛みが出て、身体が固まった様になった。

不安な気持ちが勝り、予約日まで待てずマッサージを受けに行ったとのこと。

患者様:「鍼治療の副作用ではないかという不安な気持ちがあり、治療を続けてよいのか迷っている。」

直球で不安な気持ちを投げかけて頂けたことで、患者様と原因についての経緯をゆっくり話し合うことが出来ました。

その中で判ったことがありました。

①仕事中の姿勢

②残業が続いていた

①についてはパソコン作業が主な仕事で。

視力が悪いこともあってパソコンに被さる様に背中を丸めた姿勢で集中して仕事を行なっていた。

せっかく軟らかくなっていた腰の筋肉を、座った姿勢で短縮固定していた事が判明。

②その姿勢を残業でいつもよりも長く維持していた。

鍼治療の副作用ではなかったことをお互いに確認し、治療に入る事が出来ました。

まとめると「腰の痛みで中腰になれない」「右膝のお皿の下で外側が痛い」という状況でした。

背中を触診させて頂き、中腰になる際に関係する箇所に圧痛を確認。

圧痛の原因になる手にあるツボへ刺鍼。

抜鍼後に中腰になる動作を確認すると、

患者様:「楽になりました。ただ、下までしゃがむ事が、まだ出来ません。」

圧痛が2箇所あったことを伝えて、もう一方の足のスネにあるツボへ刺鍼。

抜鍼後に中腰からしゃがんで頂くと、

患者様:「後は右膝の痛みだけです。」

うつ伏せに寝て頂き、膝裏から太腿の裏側を触診。

太腿の裏で外側に独特の張りが見つかる。

そこへ鍼を行い、もう一度確認頂くと、

患者様:「気になりません。疑ってすみませんでした。」

腰の治療に集中したため、継続での治療が行えなかったが次週から前回の続きを行う約束をしました。

【4回目】①左足へ体重をかけた際に左腰に重だるさが出る症状が復活。

②屈伸を行うと左臀部から膝にかけて外側が痛い。

③右膝が屈曲時に痛くなる。

身体が固まる腰の痛みは無くなり、もともとご相談にあった3つの症状を訴えられていた。

2回目までの治療から継続する治療もあったが、身体の状況が変化していて新しい治療を行える部分もあった。

この変化が治癒へ向けての大事な変化である事を説明し、今までの継続治療から行わせて頂く事に。

・手の甲へ鍼を行い、左足へ体重をかけた際に出ていた重だるさを確認 ➡︎ 寛解。

・膝横のツボへ鍼を行い、股関節の内転動作を確認 ➡︎ 寛解

・背中にあるツボへ鍼を行い、膝上の太腿の張りを確認 ➡︎ 寛解

ここからが新しい治療。

右膝の痛みが屈曲時に限定されていたので、屈曲動作を関係する膝裏のツボへ鍼を行う。

抜鍼してから屈伸で確認して頂くと、

患者様:「随分と楽です。ただ、左の股関節がしゃがむ時にまだ痛いです…。」

ベットに腰掛けて頂き、腿上げのテストを行ってみた。

左の膝が右と比べて上がりにくい。

ご本人も自覚して頂け、この動作を改善する事に。

関係する足の甲にあるツボに鍼を行う。

抜鍼後に同じ様に腿上げのテストを行うと、

患者様:「先生、上がってませんか?上がってますよね?」

不思議そうに私へ問いかけて下さいました。

立ち上がって頂き再び屈伸。

患者様:「痛くないです!痛くない!」

治療室内を歩いて頂きました。

患者様:「普通に歩けてます!噓みたい。5年も苦労していたのに。」

前回の事もあったので、念のためもう一度診せて頂く事にしました。

【5回目】

■同時に治療した症状■
右拇指関節炎・腰痛( 左側 )

■使用した主なツボ■

【初回】膝陽関・豊隆・腰腿点・懸鐘・膝眼裏

【2回目】足太陽・膝陽関・T12(1.5)・飛陽・築賓

【3回目】玖路・膝眼裏・後谿

【4回目】腰腿点・膝陽関・T12(1.5)・委中・中腰

■考察■
継続中のため治療終了後に追記します。