腱鞘炎( 3 ):お便り帳が持てませんでした

■患者■
30代女性

■来院■
2017年2月

■症状と来院理由■
子供から学校のお便り帳を受け取る際にグリップ出来ずに落としてしまった。利き手ではなかったのでその事があるまでは気にもとめていなかった。その後、椅子を引く動作やフライパンを握る動作で力が入らない事が分かり不安になって、以前腰痛の治療で通っていた事を思い出し相談で来院された。

■治療内容と経過■
動作確認を行ったところ、確かに利き手では無いので気が付きにくいかった事が判明。握っているつもりで実は全く握れていなかった。しっかり握って頂くと痛みが…。

握って下さいの合図で親指を動かして頂くと、カタカナの「コ」の字でとまってしまうのです。これではお便り帳を掴む事は出来ません。

手首 ➡︎ 肘 ➡︎ 肩 ➡︎背骨と確認していくと胸椎の領域で筋緊張を発見。

背中の張りについて伺うと、腱鞘炎に気付く前の週に田舎の母を見舞う為に帰省していた事を思い出す。独りで帰省したため、重たい荷物を背負っていたとのこと。

原因がハッキリした事から背中の張りと胸椎を調整する為に同側のスネに2本鍼を行った。

私:「動かしてみて下さい」

患者様:「あっ、違う!小指の先に親指が当たる!」

私:「まだ輪っかを作る感じでは無いですね。もう1本鍼します。」

そう言って患側の手首に鍼を行った。

私:「どうぞ!今度はしっかり握ってみて下さい!」

患者様:「握れます!握れますよ、先生!」

利き手で水物のお土産を持ち帰ったこともあり、前腕が筋肉痛だと言われていたので筋肉の張りを確認して肩甲骨に1本鍼を行い、痛みが無くなったので今回の治療は終了した。

■同時に治療した症状■
右腕の筋肉痛

■使用した主なツボ■
陽輔・縣鐘・列缺・ふくら①

■考察■
親指は5本指の中でも特別な動きをします。親指を持つ動物は同じ様な動作を行います。それは「握る」という動作です。例えばナマケモノという動物。ぶら下がっている木、枝から落ちない様に「握って」います。この「握る」という動作、何が特別かというと「対立動作」なんです。「対立動作」って聞き慣れない言葉だと思います。簡単に説明すると「親指と小指が対になる様に動作」するってことなんです。親指と小指が対立動作することで、握ったモノを手から離れない様にする役割があります。ですから、他の4本指と違って複雑な構造になっています。その事をよく理解して連動する筋・骨格を動作しやすい環境を再構築する事で痛みを減らしているのです。