■患者■
40代・男性
■来院■
2017年7月
■症状と来院理由■
何処が気になるという特別な痛みは無く、毎月通っている接骨院やカイロとは違った『鍼治療』とはどんなものかという興味があり予約してみたとのこと。
・鍼は本当に効果があるのか?
・効果があるなら何故効くのか?
・鍼治療って必要なの?
以上の疑問を抱きながらの来院でした。
接骨院、カイロで「姿勢が悪いですね。右肩が上がっていますよ。」と言われて姿勢の悪さと、そこが原因で背中の張りや首・肩こりが出ているとご本人からの説明があった。
肩に関しては、昔所属していた部活動での怪我も影響があるかもとの事でした。
■治療内容と経過■
治療ベットに座って頂き、接骨院などで指摘されている姿勢と背中の張りに関して触診で確認を行ってみた。
パッと見た感じで直ぐに分かる位に身体が左半身へ流れる様な姿勢。
姿見で確認して頂きながら、触診で判明した背中の捻れを説明。
この状態で苦手に成っているであろう身体を捻るという動作を確認してみた。
右へ身体を捻ってみる…
患者様:「先生、捻れますよ!」
実は左側への捻る動作が悪い事は触診から知っていて次に左へ…
患者様:「あれっ⁉︎右ほど捻れないね。何でだろう?」
実は胸椎の一部が足先と連動している筋肉によって右側に引っ張られていたのが原因でした。
その胸椎の周りを触診すると
患者様:「そう、そこが張ってるんだよね。接骨院でもよく言われる。マッサージしてもらうと良くなるんだけど、次の日には駄目なんだよ。」
足先に原因があることを説明していると
患者様:「昔から右足が捻挫しやすくてね。それも関係ある?」
後遺症にまで成っていて足首を内側へひねり伸ばすと甲が痛むとのこと。
上向きで寝て頂き、原因である足のスネにあるツボへ鍼すると
患者様:「あぁ、先生、効く!マッサージされた時みたいに背中まで緩むのわかるよ!」
鍼を抜いてもう一度座って頂くと
患者様;「先生!右肩が下がったんじゃない?まだ左と同じ高さじゃないけど下がってるよね?」
捻りによって捻り上げられて肩が、足の筋力が緩むことで背中の張りもとれて下がった様に見えていました。
身体の捻りの動作を確認すると
患者様:「左へ捻りやすくなった。けど、右はさっきほど捻れてないね。何で?」
鍼の前は、右に捻りが強く出ていた関係で右側へ捻りやすく感じていただけでした。
それが鍼を行って緊張が柔らかく成り、左右が対称的に捻れる状態に戻ったからと説明。
患者様:「右へ捻れなくなったわけではなくて、これが本来の右への捻りで、左もこれが本来の捻りなんだね。凄いね。」
私:「実はもう1つ効果があって…。立ち上がってみましょうか?」
スッと立ち上がられた患者様。
患者様:「あれっ!?右足にこんなに体重乗ってたかな?」
実は捻挫の後遺症で足のスネから足首にかけて筋肉が硬くなっていたため、無意識に右足に体重を乗せることをしていなかったのです。
私:「少し歩いてみて頂けませんか?」
患者様:「えぇ、痛くない!足首が痛くないよ!不思議だね。」
座って頂き、首・肩の状態を確認頂くと
患者様:「まだ左肩と右の首に違和感あるね」
見た目からも左肩が体の中心に向かって巻き込んでいる様子がわかり、それによって左へ倒れ気味の首を起こす形で首に負担がかかっていることが分かった。
再度上向きで横になって頂き、右肩から順にYの字のイメージで万歳の動作を行って頂くと
患者様:「左の方が肩の前側が引っ張られた感じがして痛いです。」
行進や投球動作で連動する反対側の足との関係がこの万歳の動作を取りにくく
していることを説明して右足の太もも内側へ鍼を行う。
今度は鍼を置いたまま万歳を行って頂く
患者様:「あれ、不思議!さっきの痛みがないよ。」
鍼を抜いて再度ベットに座って頂く。
患者様:「また肩の高さ変わってない?あと首が少し残ってるね。」
下向きにベットへ寝て頂き首を触診。
肩や股関節に連動する箇所に張りが残っていたため、原因になる足首のツボへ鍼を行う。
首の緊張がとれたことを確認して鍼を抜き確認して頂く
患者様:「鍼って直ぐに効くんだね。驚いた!」
患者様が抱いていた疑問も解け、隠れていた捻挫の後遺症も良くなったところで治療は終了した。
■同時に治療した症状■
右足首の捻挫後遺症・首こり・肩こり
■使用した主なツボ■
光明・足五里・足太陽
■考察■
患者様は古傷をかばっての不安定な姿勢を代償動作で安定させていました。
その為に背中発症していた背中の張りでした。
動作制限がかかった中で生活することが如何に不自然で、身体に悪い影響を及ぼすのか。
そのことを患者様に気付いて頂ける良い機会になったと思います。
また、鍼治療後に直ぐに起こった身体の変化に気付いて頂けました。
それが今後のケアにとても大事なことになります。
痛みがあるから動けないのではなく、正常に動けないから痛みでそのことを身体が教えてくれているということを実感して頂けたと思っています。
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