更年期障害と疑っていた逆上せ
患者
40代・女性
来院
2018年7月
症状と来院理由
異常な程の逆上せが数日続き、「更年期障害」を疑い婦人科を受診。
ホルモン検査の結果異常は無く、様子をみることに。
異常な逆上せに加え、喉の違和感と浮腫み、足の冷えが数日続いた。
日中、眠気に襲われることが多くなり、やたらとアイスを食べたくなる。
肩まわりの張りと腰痛も出始めたこともあり、以前通院していた当院へ連絡。
治療に繋がった。
治療内容と経過
逆上せの原因について触診を行なっていると、足元が冷えて頭が熱を帯びている「頭熱足寒」の状態になっていることが分かった。
喉の違和感があることからも、首肩のこりから発症していると判断。
頭に鍼を行い、浮腫みの原因を探ることにした。
腰の痛みを訴えていたことから、腎臓の高さの腰の筋肉を調べると筋緊張がみつかった。
この筋緊張を緩めるため、膝裏にあるツボへ鍼を行い頭の鍼とともに15分置鍼を行なった。
鍼を抜き、起き上がっていただくと、喉の違和感と腰の痛み、足のダルさは感じなくなっていた。
続いて、まだ少し残っている逆上せと冷えの原因を探ってみると、背中とふくらはぎに張りが残っていることが分かった。
それらの張りを緩めるため、腕と足首にあるツボへ鍼を行なった。
すると冷たかったふくらはぎが、ほんのり温かくなって来て呼吸がしやすくなった。
鍼を抜き、起き上がって頭と足の体温を手で確認してみると、最初熱を帯びていた頭は平温に感じ、冷たく感じていた足元は温かくなっていた。
喉の違和感も無くなっていたことから、以上で今回の治療は終了した。
同時に治療した症状
肩甲間部の張り(肩こり)、喉の違和感(首こり)、腰痛、浮腫み
使用した主なツボ
百会、脳戸、委陽、三陽絡、三陰交
治療技術
腹背編、身心和合編
まとめ
健康の指標でもある「頭寒足熱(ずかんそくねつ)」という言葉があるが、今回の患者様はその反対の「頭熱足寒(ずねつそくかん)」の状態でした。
運動不足で、ふくらはぎを使う機会があまり無かったため、足の浮腫みを発症していました。
その浮腫みの影響で下半身が冷え、身体の熱が上昇。
頭まで昇った熱が首こりと肩こりに塞き止められ、発火しているような状況でした。
頭に熱が留まっていた影響で、「冷やしたい!」と「栄養が欲しい!」という脳の意思が働いたか、やたらにアイスを食べたくなっていたのでした。
施術後は、「あれだけ欲しがっていたのに不思議」と患者様が話されていました。
熱を塞き止めていた首こり・肩こりを緩め、足の浮腫みを改善したことで寛解した「逆上せ」の症例でした。